女子大学生が考案「おさつチップ」 食べ歩きに最適、川越の新名物へ

観光地として知られる川越市で、アルバイトの女子大学生らが考案したスナックの芋菓子が観光客らから人気を集めている。最近は見た目にこだわって改良を加えたこともあり、インターネット上の会員制交流サイト(SNS)で情報が拡散。さらに評判を呼んだ。若い世代の感覚が商品に生かされ、店の主力商品になっている。

 大型連休中の今月1日、大勢の観光客でにぎわう川越市内。その中でひときわ、長い行列ができている店があった。その先で観光客らが手にしているのは、透明のカップに入ったスナックの芋菓子。「手軽に食べられて、食べ歩きに最適。味もおいしいですよ」。手にした女性(26)はうれしそうに頬張る。

 スナックの芋菓子「おさつチップ」は、菓子店「小江戸おさつ庵」の商品の一つ。サツマイモを薄くスライスして油で揚げ、塩をふったものだ。

■若い人の感覚は大事

 おさつチップが誕生したのは3年ほど前。当時は予約制の創作料理店のみの営業だったが、通りを歩く観光客にも商品を提供したいと思い、小江戸おさつ庵を立ち上げ、売り出す商品を考えていた。

 開発の中心は、創作料理店でアルバイトをしていた女子大学生たち。「若い子の意見をいろいろ取り入れた方がいいかなと思って」と、古川雅代店長は振り返る。女子大学生たちはアイデアを練り、商品を考案。川越の特産でもあるサツマイモにこだわって開発を進めた。

 昨夏の終わりごろには、チップの形を大きくするなどリニューアル。カップからはみ出た見た目にインパクトがあり、街中で食べ歩きをしたときに「あれは何だろう」と興味を引くような工夫をした。それが注目を浴び、購入客らがSNSで情報を発信。さらに評判を呼んだ。「若い人の感覚って大事ですね」と、古川店長は話す。

■愛される商品に

 「食品に関わったことがなく、最初は意見とか言っていいのか不安だった」。リニューアルに関わったアルバイトで大学2年棚橋裕子さん(19)は打ち明ける。それでも店の人から「いろんな発想が大切」と言われ、思ったことを言うようになった。

 アイデアが通ることで「もっと頑張ろうと思えた」という。アルバイトのやりがいにもつながり、「大学を卒業するまでバイトを続けたい」と言い切る。将来は商品開発の仕事に就くことも考えるようになった。

 大学生らの発想で始まった商品は、店の売上の半分以上を占めるようになっている。「『川越に来て良かった』『面白かった』と思ってもらえるようなものになれば」と古川店長。棚橋さんは「地元の人や観光客に愛されるものになれば」。川越の新しい名物として定着することを願っている。

 小江戸おさつ庵は土日祝日営業。問い合わせは、同店(電話049・226・3297)へ。