バス、トラックなど「事業用車」 事故調査組織、新設へ

 国土交通省は十五日、バスやトラック、タクシーといった「事業用自動車」の交通事故を減らすため、専門の調査組織を二〇一四年度に新設する方針を固めた。昨年四月の関越自動車道高速ツアーバス事故のような重大事故が起きた場合、背景にある問題点を調べ、実効性の高い再発防止策を提言する。一四年度予算の概算要求に必要経費を盛り込む。

 交通事故に詳しい研究員らが所属する外部機関に運営を委託することを想定しており、機関内に有識者による委員会をつくってもらう。

 事故原因は警察も捜査するが、新組織は運転ミスのような直接的な原因を引き起こした会社の管理態勢や運転手の労働環境、車両・道路の構造的な問題点を調査。分析を重ねた上で再発防止策をまとめて提言する。国交省は警察庁とともに現場調査やデータ提供で協力し、提言内容を規制強化や車両の安全基準の見直しに反映させる。

 国交省は〇一年度から、省内に有識者検討会を設け、年次報告などで再発防止策をまとめている。居眠り運転が原因とみられる関越道の事故では対策として、交代運転手の同乗や、衝突時の被害を和らげる自動ブレーキの普及を挙げた。ただ調査自体は同省職員が実施しており、専門性を高める必要があると判断した。

 一一年に全国で起きた事業用自動車の交通事故は約五万件で、死者数は計四百四十七人に上った。国交省は二〇年までに死者数を二百五十人以下に減らすことを目標にしている。鉄道と航空、船舶の事故に関しては、国の運輸安全委員会が原因調査に当たるが、事業用自動車は対象外となっている。

 <事業用自動車> 道路運送法や貨物自動車運送事業法の許可を受けた会社が、人や貨物を運ぶために使う車両。会社は運転手の健康管理や、安全確保の責任者である運行管理者の選任といった義務を負う。1993年と2011年の比較で、事業用自動車の交通事故による死者数は841人から447人に減少する一方、事故件数は4万5840件から4万9080件に増加。死傷者数も5万7846人から6万1063人に増えている。