埼玉県が地震予測を更新

埼玉県が地震予測を更新 東京湾北部地震の最大震度エリア密集傾向判明、被害拡大の懸念も

2013.8.1 22:42

 埼玉県は1日、将来の発生が高い確率で予想されている東京湾北部地震を含む5つの地震について、最新の県内の震度予測などを発表した。6年前に発表した同様の予測と比べ、揺れが大きくなったり、最大震度となる地点がより密集して分布し、危険度が増す可能性のある地域があることも判明。県はこれを基に建物や人的被害などについて再検証し、今年度中に新たな地域防災計画を策定する方針だ。(安岡一成)

 県は東日本大震災を受け、昨年度から2カ年で地震調査を進めている。昨年6月、地震学や防災の専門家7人で構成する県地震被害想定調査検討委員会を設置。今年6月までの3回の会合で、6年前にも行っていた被害想定調査を4倍の精度で検証するなどして更新した。

 同委員会は県南東部での震度が大きい海溝型地震の(1)東京湾北部地震(2)茨城県南部地震(3)元禄型関東地震の発生を想定。(1)と(2)は今後30年以内に南関東地域でマグニチュード(M)7級の地震が発生する確率は70%、(3)は県内で過去に起こっているが、今後30年の発生確率はほぼないとされる。

 また県西部の山間地域にまで広範囲に影響するとされる活断層型地震については(4)関東平野北西縁断層帯地震(5)立川断層帯地震-も想定。今後30年の発生予測は(4)が0~0・008%、(5)が0・5~2%といずれも低い確率となっている。

 予測結果は、(1)は最大震度(6強)範囲が南東部県境から約10キロの範囲としていたのを、約4キロの範囲と修正。戸田市では6弱から6強にアップした。また、6強予想のエリアが、以前は点在していたのが、今回は一定の地域に集中していることが判明。県は「川口市など住居が密集したところでは、以前よりも建物被害が出やすくなった可能性がある」としている。

 また、(2)では県東部の5市町で最大震度6強となり、越谷市と杉戸町がその範囲に加わった。周辺の震度6弱の範囲は縮小したが、同様に集中傾向にあるという。

 (3)の調査では、川口、草加、八潮市の一部に震度6弱となる地域が集中して分布している。(4)と(5)は破壊開始点の位置で震度は変化するが、(4)では断層周辺の18市区町で震度7となり、全市区町村で震度5強以上となる。(5)は断層周辺の5市で震度6強、24市区町村で6弱となる。